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MoNoGaTaRi #23「毎日が祭である」

無音の夜中である。

毎日が祭である。
祭とはひとつの文脈を生み出し、繰り返し参加することで、
その意味を理解し構成していくことが可能となる。
「共有された世界観」を大勢の間で共有する過程を提供する。
無料のツールが小さな祭を林立させ、誰もがいくつかの祭に参加する社会。
一つの大きな物語が大勢の人々の世界観となる。
この世界に対し息苦しさを感じているのが主人公である。

主人公は絶望的に人付き合いが苦手である。それは根本的なところで「お祭り騒ぎ」に反抗心を燃やし、そこに加わる人を馬鹿だと見ているからである。

というのも、幼い頃には、
誰もが観るテレビ番組、誰もがやるゲーム、誰もがやる遊びに関わることこそが自らの価値とみなされた。それは今思い出すのもいやなほどお祭り騒ぎだった。

中学に入ったら、
今度は、誰もが観るわけじゃないテレビ番組、誰もがやるわけじゃないゲーム、誰もがやるわけじゃない遊びに関わることこそが自らの価値とみなされた。それは当時から従うべきものではないと感じながらも、その価値観との比較でしか見られない自分のお祭り騒ぎだった。

高校に入ったら、
だんだんと自分にしかないものに関わることこそが自らの価値とみなされた。他人から邪魔されない、ただそれは既存のレールを選び取っただけのお祭り騒ぎだった。

そして今。
思い出すお祭り騒ぎの一つひとつが馬鹿らしいと感じている今。

毎日が祭である。

数多の祭が主人公を取り囲んでいる。
今日も友人が言う。
「楽しいから来てみなよ!」
ちがう。
「きっと役に立つよ!」
それもちがう。
「…なにかがわかるかも。」
……。
…そうかも。

お祭り騒ぎに今日も行く。
なにかをわかるために今日も行く。

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