html

About    Concept    Works    Contact

MoNoGaTaRi #22「不死の子」

無限に生きられる者ならば、親を気にしたりはしないだろう。

それは有限であるが故に、遺すための手段として子を産むのだ。

しかし「僕」は生まれた。不死の一族に連なる者として…。


***************
#1

高校一年の貴重な夏休みを、僕は倉にこもり、埃にまみれることに費やしていた。
僕の探しているものは、おそらく今後の人生を決めるようなものだ。

僕は恋をしていた。

それが今の僕の行動とどう関係するのか。それを説明するには僕の家族について語らねばなるまい。

家は田舎にはよくある伝統的な造りで、大所帯でも余裕がある広さがある。
僕から家系を辿っていくと、父、祖父、曽祖母、曽曽祖父、曽曽曽祖母がご存命で、伯母夫婦といとこ、さらに曽曽祖父の弟を加えて、僕の家族となる。
朝起きると食卓で、曽曽祖父とその弟がからかい合戦をはじめていて、どうやら弟が80何歳も歳の離れた女性と付き合いはじめたとかなんとか。
その脇で落ち着いたものなのは、彼らの母である曽曽曽祖母と娘である曽祖母で、もはや慣れっこといったふうである。
それを置いて、無関係然としているのが祖父で、父も伯母夫婦も、それに連なる僕もいとこも無関係でいることができる。
壮年の大人がこれだけ揃っている中で、僕といとこだけは立場が似ている。


僕が知りたいのは、彼らがどんなつもりで結婚したのかだ。
ここ何代かで亡くなったのは、母を含め、外から入ってきた人間だけ。

大きな争いがあった時代には、それだけ子孫を残す必要があったのだろう。
でも、祖父が生まれた時代にはもうそれは必要ではなかった。
それでも父と伯母は生まれた。

祖父はどうして結婚したのか。それが、僕の探すもの。
そして、僕の足りない決意を補ってくれると思ったんだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿