移動しつづける国に、運賃を払って乗る。
文字通り、この世界の国は「動いている」。
何万本という足で海底に立ち、人々の生活を上にのせて歩くのだ。
運賃は国によって違う。
高い国と低い国があっても問題とならないのは、
国というものが乗り降り自由だからだ。
移動する間にすれちがう国に渡ることは自由であり、
できるだけ多くの国とすれちがうように針路をとるのは、
世界の法律として決められていることだ。
だが問題なのは、その国から降りられなくなってしまった人についてだ。
主人公の仕事は「関係解消人」である。
あらゆる人が、自分の意思で国を降りられなくなることに対して、
その束縛を解消してやることがその内容である。
このことは、国が国民と、
純粋な「サービス提供者ー消費者」関係を保つために重要な役割を持っている。
主人公が出会う様々の人は、その国で築いた関係によって国に依存せざるをえなくなっている。
離れるという選択肢を持たない人々は、いずれ国の変化を求めるだろう。
自分の当然の権利としてだ。
だから主人公が必要とされる。
たとえ国民であった人の関係を消し去っても、
この国を存続させるために…。
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