html

About    Concept    Works    Contact

MoNoGaTaRi #3「紙とテープと」

主人公は紙とテープを使い、国を取り戻さなければならない。

なぜならば侵略者である敵国は自らの保身のため、
侵略した国に「完全分業制」を敷き技術の集中を阻止したからだ。

完全分業制の規則によって時間と空間とが限定された国。敵に気付かれず、この構造に穴を空ける可能性を持つ、それは主人公だけが持つ手段だ。

一見役に立たないポスター貼りの仕事を受け持った主人公は、テープと紙の改良をはじめる。

それは主人公にとっても思わぬ可能性だった。
紙とテープを改良するきっかけとなったあの日、
風を受け舞い上がったそれは一瞬のうちに秩序立った世界を一変させ、そして気付かれることなく溶け込んだのだ。
木の葉を揺らす程度の変化ではあったが、主人公にはそれが巨大な構造に大いなる一撃を加えたように見えた。
それは「混雑」を生み出した。

蟻が列を作って獲物へと向かうように、この国の人々は一定の間隔を持って歩かされていた。ただ前へ前へと。
しかし主人公の与えた変化はここに「混雑」を生み出す。それは避けようもない事態であり、誰に責任を負わせることもできないこととして敵国に処理される。
流れは滞り、出会うはずのない二人を出会わせた。
「可能性を知る者・学者」国民票#124と「可能性を作る者・発明家」国民票#126
真っ直ぐ作業場へ向かうだけだった二人は、共謀をはじめる。
そして主人公は陰からサポートする第三の人物として動き始めるのだ。「可能性を伝える者」、それが主人公の役割だ。

主人公は二人から認識はされていない。
ただ「混雑」の裏の存在を二人は予感しているだろうが。
数々の問題を紙とテープで切り抜ける主人公と、その度に計画を進める二人。
毎回同じルートを通らされていた国民は、崩れた道を避けるようにして国の中枢へと近づいてゆく。


ルートが変われば、当然出会うべき人間も変わってくる。ここには次の可能性を知るものがいる。

しかし動きが活発になってくると「可能性を隠そうとする者」が現れる。現状に満足する者、危険を避けようとする者である。
表向き味方を装って近づき、作戦の進行を妨害してゆく。
主人公はこれを退けるが、同時に敵国に計画を知る者を捕らわれてしまった。


計画が敵国に明かされるまで時間がないだろう。これを受け、主人公たちは大胆な行動に打ってでる。

行動が大がかりになれば、「可能性を伝える者」である主人公の役割はさらに重要になる。
紙とテープを使って間接的に関与するだけでなく、自らが隠れて直接行動する必要も増えてくる。
いままで面識のなかった仲間からは、驚きの表情で迎えられてゆく主人公。

中枢へと急接近する計画。
しかしあと少しというところで主人公は捕らえられてしまう。罪状は「担当職域外への侵入」である。完全分業制を根拠とする支配者のための法。これを侵して無事に戻れた者はいない、絶対のルールだ。

これまでかというときに、訴えは取り下げられる。
「担当職域内である」との判断が下されたのだ。
主人公は信じられない気持ちでいっぱいだったが、すぐに状況を把握した。

すでにこの国は取り戻せている。
目の前で支配者を気取っている人間は、すでに自らの判断でこの国を動かせない存在になっているのだ。


再び国の中枢が入れ替わり、人々の生活から「完全分業制」が取り除かれたそのとき主人公は理解する。この国にあった見えない可能性を。

0 件のコメント:

コメントを投稿